大規模修繕の工事費用が足りない場合には一時負担金・借入を検討

大規模修繕工事の実施の準備段階では、資金計画を練ることが管理組合にとって重要な作業となります。建物劣化診断の結果を基に、工事内容とそのために必要となる資金をどう捻出するかを検討しなくてはなりません。この資金計画は、組合員の合意を形成するために極めて重要な作業です。

1戸あたり100万円程度の工事費用

1戸あたり100万円程度の工事費用

早い段階から適正な修繕費積立金を積み立ててきた管理組合では不安はありませんがこれまで積立ててきた修繕費積立金で工事費用をすべて賄えない場合には、資金の不足状況を把握して対策を練る必要があります。

まだ計画が煮詰まっていない段階で必要となるのが、検討材料とするための目安となる工事費用です。

施工会社から見積りを取り寄せればある程度工事費用の相場を知ることができますが、実際のところ、見積りを取り寄せるためには、大規模修繕工事の計画がある程度の段階まで進んでいることが必要になります。

例えば、見積りを依頼する前提となる「標準仕様書」をどういう方法で用意するか、見積りを依頼する会社をどういう基準で選ぶかといったことが決まっていなければなりません。

しかし、目安程度の金額を確かめたいというような場合は、まだ話が始まったばかりで、とてもまだ見積りを取り寄せるというところまで段取りが進んでいないのが普通です。

工事費用の目安はどうやって把握する?

正確な工事費用は、工事内容や進め方しだいで変わってきますが、事前にある程度の目安となる費用は知っておきたいところです。

現実的なところ、管理会社の協力が得て、戸数や築年数、修繕の内容が比較的に似ている他マンションの事例を知ることができれば非常に参考になるでしょう。

一般的なマンションの例をあげれば、諸条件で当然変わってきますが、1回目の大規模修繕工事で、1戸当たり100万~150万円の工事費用が掛かる例が多いようです。

資金計画

資金計画
大規模修繕の工事代金の支払いは、工事着手時、中間時、工事竣工後の3回、もしくは中間時を除く2回の支払いになります。

準備不足であったり、当初の計画よりも総費用がかさみ、修繕費積立金だけでは費用が不足するといった場合には必要な工事資金をどのように調達するか検討する必要性が出てきます。また、資金不足が明らかになった段階で、それをどのように負担するのかを検討し、対応策を組合員に提示することが必要となります。

工事資金が不足する場合には、次のような選択肢があります。

  1. 組合員からの一時負担金として徴収
  2. 不足額の金融機関かららの借入れ
  3. 工事の仕様ダウンによる減額
  4. 工事範囲を狭めることによる減額

工事費用は、出来る限り修繕積立金で賄いたいものです。修繕積立金が不足する場合は、個人的な一時徴収を避け、通常は、管理組合が住宅金融支援機構や民間の金融機関からの借入を利用します。返済は、修繕積立金で返済していき、無理のない返済計画を立てることにします。

修繕積立金では足りない場合

修繕費積立金だけでは工事費用を賄えない場合には「金融機関からの借入」や「区分所有者からの一時金徴収」をおこなう必要性が出てきます。また、借入金と一時金徴収を併用するケースもあります。金融機関から借入れする場合には融資の申請手続き、管理組合の総会での承認など別の作業も発生します。また、管理組合の借金の存在で資産価値の下落などの恐れもあるため、工事資金の借入れによる資金調達は最後の手段と考えておく方が無難です。

「借入金」「一時金の徴収」いずれの方法を採用するにしても、理事会や修繕委員会が主体となって、組合員に対して資金不足の現状や、工事の必要性等を説明会や広報誌の配布等で十分周知していく必要があるでしょう。

1.一時金として特別徴収する方法

不足する額を各所有者から一時金として徴収する方法です。徴収する金額の決め方には「各住戸で均等」「専有床面積の割合」などがありますが、いずれにしても、この方法では、一時的に多額の費用の負担となるため、組合員の理解が得にくく不満も生じるでしょう。また、組合員各々の経済状況に差があり延滞の発生も危惧され、こうしたことをきっかけに未収や滞納問題の深刻化につながるケースも多いようです。

管理組合の判断によりますが、借入と比較すると金利や手数料が発生しないメリットはありますが、一時金の徴収は、一般的に管理組合内での合意を得ることが難しいため、一時金を徴収するにしても、借り入れによる方法と併用して、合意の得られる無理のない負担額に設定する方が望ましいでしょう。

2.金融機関からの借入

住宅金融支援機構や民間の金融機関から管理組合が借り入れをおこない、工事完了後に修繕積立 を増額して、複数年を掛けて返済していく方法です。管理組合が融資を受けるにあたっては、各機関ともそれぞれに条件(滞納率や修繕積立金の額等)があるのでこれをクリアしなくてはなりません。まずは、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を申し込んで、断られた場合に民間の銀行等の金融機関の融資制度を利用する方法が一般的です。

このように、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)や民間金融機関から工事費用の不足分の一部を借り入れる方法もありますが、大規模修繕工事の実施後は、その後の修繕工事に備えた修繕積立金を確保するのに加えて、金利をプラスした借入金を返済しなくてはならないことに注意する必要があります。

注意事項
大規模修繕では工事代金の支払いは、着手時、中間時(省略することもある)、竣工後の3回の支払いになります。住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォームローンを利用する場合には、 工事竣工後に融資実行となるので、 工事請負契約書に竣工後の工事代金の支払いについては、住宅金融支援機構資金相当額はローン実行後に速やかに支払うといった記載が必要になります。
また、住宅金融支援機構や金融機関から工事費を借り入れる場合には、修繕積立金の徴収額の増額や規約の変更が求められる場合もあります。

総会決議が必要

金融機関からの借入、大規模修繕の工事費や調査診断費用、設計費、工事監理費などは修繕積立金会計から支出することになるため総会決議が必要です。

工事の先送りは出来る限り避ける

工事の先送りは出来る限り避ける
現実的な選択して、大規模修繕が実施できる修繕積立金が貯まるまで工事を延期するといった選択をする管理組合もありますが、劣化が極端に進行した時点では、工事費用は割高になりやすいという点は考慮が必要です。

マンションを「終の棲家」にするためには、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」や「マンションすまい・る債」の活用や、修繕積立金増額分の原資を生み出すため、共用部分の照明設備をLED化や機械式駐車場設備の廃止など、管理組合の皆さんの意見を上手く集約して乗り超えていく必要があります。