大規模修繕工事のパートナー(=外部コンサルタント)の選定方法

大規模修繕工事のパートナー(=外部コンサルタント)の選定方法

大規模修繕工事の実施にあたっては、管理組合が担う役割が大きいのは当然ですが、工事の実施には専門的な知識が不可欠で、しかも扱う金額が大きいため工事や修繕の専門家ではない方が戸惑うのが普通です。日常的な小規模な修繕工事なら見積りを取り寄せる程度で済みますが、大規模修繕工事レベルになると、理事だけで計画を進めていくことはそう簡単なことではありません。そのため、まず管理組合がまずやっておきたいのは、工事のパートナーとして、マンションの大規模修繕に精通した専門家(コンサルタント)探しです。

コンサルタントに頼む目的

コンサルタントに頼む目的
管理組合が大規模修繕工事を取り進める際には、設計事務所やマンション管理士などの外部のコンサルタントと契約することが多いのですが、費用削減等を目的として外部のコンサルタントに依頼しない場合には、理事や修繕委員が中心となって管理会社と相談しながら進行していくことになります。

最終的に外部のコンサルタントに依頼するか、マンション内のメンバーだけでプロジェクトを進めてていくのか、マンションの規模や工事の内容などを踏まえて準備段階の早い時期に方向性を定めなくてはなりません。

外部のコンサルタントに依頼しないで自分たち組合員が中心となって検討を進める場合には、修繕範囲や施工業者の選定、合意形成から工事の実施まで長期間かつ専門的な内容を自分たちだけでおこなっていくことになります。この事自体は決して悪いことではありませんが、仮に管理会社から、オーバースペックで高額な提案があっても専門的知識を有していないと工事内容や費用が適正であるかわからないため反論しづらいといった現実もあります。

管理組合が費用を負担しても、外部のコンサルタントに依頼する最大の目的は、管理会社や施工会社とは異なる視点から客観的なアドバイスをもらえるといことです。信頼できるコンサルタントに依頼できれば管理組合の頼りになる相棒となるでしょう。

■コンサルタントの役割

大規模修繕工事の「設計施工方式」「工事監理方式」といった発注方式の違いによって、コンサルタントの役割は異なってきますが、管理組合にはその違いを理解するのは少しむずかしいようです。そもそも大規模修繕のコンサルタントの定義は曖昧です。一般的には「工事の設計」や「工事監理」を請け負う会社のことをコンサルタントと呼んでいます。

このほかにもマンション管理士事務所のように「設計」や「工事監理」はおこなわなくても、管理組合内での合意形成といった主にソフト面でのサポートを受け持つ団体や個人を大規模修繕工事のコンサルタントと呼びケースも見受けられます。

マンション管理士をコンサルタントとして活用するメリットは、工事に関するハード面以外に、工事に関する広報紙の作成や、管理規約の見直しといった業務を依頼できることです。また、大規模修繕工事だけを任せるのではなく、管理組合の顧問として年間契約することで工事後のアフターサービスの対応まで長期的に任せることができて安心かもしれません。

コンサルタントにどのような業務を頼むのか、国土交通省の調査によると依頼した業務内訳は、調査・診断が15.2%、設計が31.8%、施工会社選定への協力が8.1%、工事監理が40.3%、長期修繕計画の見直しが3.6%となっています。

■コンサルタント選びの基本

大規模修繕のコンサルタント業務の依頼先としては、大規模修繕専門の設計事務所の他にも、管理会社、マンション管理士事務所、業界団体など様々です。工事の発注方式によってコンサルタントの役割は異なりますが、求める役割が第三者によるセカンドオピニオンということであれば、少なくても工事をおこなう施工会社以外からコンサルタントを探すことになります。一方で、責任施工方式の場合は、工事の施工業者がコンサルタントの役割を担うことになるわけですから、施工会社の選定は熟慮する必要があります。いずれにしてもコンサルタント選びが大規模修繕工事の成功を左右するといっても過言ではありません。

■コンサルタントの探し方

大規模修繕工事の成功に向けて、管理組合を支えてくれる外部のコンサルタントは不可欠ですが、外部のコンサルタントを選ぶといっても、それもなかなか難しいのが現実です。大規模修繕に向けて実はもっとも難しいのが、優秀なコンサルタント選びです。管理組合がコンサルタントに何を頼みたいのかを明確にしておかないと、それにふさわしい相手が選べないのは当然このことです。大規模修繕は検討段階から工事完了まで2~3年はかかる長期プロジェクトなので、コンサルタントとも長い付き合いになります。どの業者をコンサルタントに選ぶのか、管理組合内でしっかりと時問をかけて慎重に検討を進めていく必要があります。

コンサルタントの選定にあたっては、まずは候補者をリストアップする必要があります。インターネット検索で探す方法、組合員から推薦を受ける方法、業界紙等で公募する方法などが考えられます。候補者をリストアップしたら、理事会や修繕委員会でヒアリング等を十分に行い、コンサルタントの提案力や過去の業務実績、有資格者数等を参考に管理組合にとって最もふさわしいと考えるコンサルタントを選びます。

最終的な意思決定は管理組合自身で

最終的な意思決定は管理組合自身で
コンサルタントさえ見つければ、後は何でもやってくれるといったスタンスでは、結果的に上手くいきません。コンサルタントに期待できるのは支援であって、工事内容を決定し、最終的に発注するという意思決定は管理組合の仕事です。特に施工業者の選考に関してはコンサルタント任せにしないことが肝心です。極端な場合、コンサルタントと施工会社、管理会社と癒着して、まったく必要のない工事や割高な費用を提案してくるケースも多く、国土交通省も注意喚起を促す通知を出しています。
もちろん、管理組合の一人ひとりに異なる考え方や意見の方がいて、必ずしも大規模修繕工事の進め方に賛成とは限らないわけですから、全員が納得する工事をおこなうことは簡単なことではありません。コンサルタントの選定の過程でも積極的に情報公開して、その必要性を共有し、合意形成に導くのは管理組合の仕事です。