大規模修繕工事における理事会の役割と専門委員会の設立

分譲マンション管理組合の大きな役割の一つが、大規模修繕工事の計画および実施です。組合業務の中でも特に重大で中心的な課題となるのが、多額の費用を要する大規模修繕工事をどうやって成功に導くかです。この課題に対してどこの管理組合でも、理事はどう対処したらよいのか頭を痛めているのが現状です。

普段は管理会社にお任せでも大規模修繕は理事会が積極的に関与

普段は管理会社にお任せでも大規模修繕は理事会が積極的に関与
ほとんどのマンションでは、共用部分の維持管理の実務を管理会社に委託しているので、管理組合の役員に就任しても大きなトラブルでもなければ、これといった大きな仕事はないはずです。

しかし、長年にわたって貯めてきた修繕積立金を取り崩して行う大規模修繕工事では、すべてを管理会社任せきりにすることはできません。

大規模修繕における理事会の役割

大規模修繕工事では専門的な知識が要求され、その計画から実施、完成に至るまでのプロセスを、具体的にどのように進めていったら大規模修繕工事を成功させることができるのか、理事会の役割と責任は非常に大きなものになっています。

特に防水工事の進め方などハード面のことは、素人には分かりづらく苦労している理事会も多いようです。また、ソフト面でもマンションの居住者の半分が70歳代以上の高齢者といったマンションも増えており、合意形成が難しくなってきています。

ただし、苦労ばかりではなく特に第1回目の大規模修繕工事では、理事会のメンバーや組合員にとって、マンションの仕組みを理解できたり、住人同士、互いに理解することができるチャンスでもあります。

専門委員会のアドバイスを受ける

管理組合の理事の選出では、輪番制が一般的ですが立候補や抽選で選ぶこともあります。いずれにしても短期間で入れ替わる理事が大規模修繕工事という長期プロジェクトを引き継いでいくことは簡単ではありません。

大規模修繕工事の手続きを踏む中でも、施工業者の選考や発注方法、資金計画等の課題に対して、日常的な業務を抱えている理事会だけで対処するのは大変なので、他の組合員の協力を仰いで「専門委員会(修繕委員会)」を設置するのもよい方法です。

たとえば、修繕委員会を立ち上げて居住者から委員メンバーを募って、委員は 6人で、うち3人は理事と兼任といった具合です。

理事会は、専門委員会に、工事についての専門的な検討について依頼し、理事会にアドバイスをしてもらう方式を取っている組合も多いようです。理事会は専門委員会のアドバイスを受けてこれを審議し、具体的に大規模修繕工事の実施計画を検討していきます。
工事の実施は、最終的に管理組合総会の議案として提案し、承認を得ることが必要になります。

なお、規約の内容にもよりますが、専門委員会の設立は総会での承認が必要となる場合もあるので、適正な手順に沿って委員会を設置しましょう。

理事会の諮問機関である専門委員会の役割

専門委員会は総会の議決を経て設けられますが、 大規模修繕工事を実施する際の修繕委員会がその代表例です。

  • 専門知識が必要とされる事案への対処
  • 理事会の役員の任期を超える期間を要する事案に対処する場合
  • 理事会が対応するには、その作業量が多すぎる場合
  • 理事会と組合員の利害が相反するような問題の解決

理事会は、組合員中から建築知識のある方や、マンションの事情に詳しい歴代の理事などに協力を仰いで「専門委員会」を設けてアドバイスを受ける一方で、適宜、工事の概要を居住者に十分広報をおこない、加えて住人アンケート等で要望を吸い上げるなどの対応が必要となります。

管理組合個々のな事情もあって、専門委員会の設置が困難な場合には、理事会を中心に大規模修繕工事の検討をおこなっていくことになります。 必ずしも大規模修繕工事の際に専門委員会を立ち上げる必要はありません。

理事として大切なことは、大規模修繕の時期に、たまたま就任の順番が回ってきたという事情があったにしろ、最終的に総会の承認を得て正式に選任された地位にあることを認識して、管理組合のために大規模修繕に向けた業務をしっかりとおこなっていくことです。

大規模修繕工事を実施する上では、管理会社やコンサルタントとの関わり方や施工会社の選定の透明性の確保などが重要な課題となります。組合員から誤解や疑惑が生じないように注意を払いましょう。