大規模修繕って何?マンション管理コンサルタントが解説


マンションの外壁や屋上、廊下など、日々の暮らしを支える「共用部分」は、時間とともに少しずつ劣化していきます。こうした部分をまとめて修理・更新するのが「大規模修繕工事」です。この記事では、そもそも大規模修繕とは何か、日常のメンテナンスとの違い、放置するとどうなるのかなどをわかりやすく解説していきます。

マンションの大規模修繕とは?

マンションには「専有部分(各住戸)」と「共用部分(外壁や廊下など)」があります。大規模修繕とは、この共用部分を対象に、定期的にまとめて点検・修理・更新する工事のことです。管理組合が主体となり、住民の合意を得て実施されます。

外壁や屋上といった共用部分は、日差しや雨風、気温の変化にさらされるため、年月とともに劣化が進行します。見た目の美観だけでなく、建物の防水性や安全性を保つうえでも、計画的な修繕が欠かせません。

日常メンテナンスとの違いは?

種別内容の例頻度実施主体
日常メンテナンス電球交換、小規模な補修随時管理会社など
大規模修繕外壁・屋上・鉄部の全面補修、足場設置約12〜15年ごと管理組合

日常メンテナンスでは対応しきれない高所や広範囲の劣化部分を、まとめて修繕するのが大規模修繕です。足場を組んで外壁を全面的に補修したり、屋上の防水層を更新したりするため、工期も費用も大きくなります。

放置するとどうなる?劣化しやすい共用部分4選

1. 屋上

アスファルトやシート防水は紫外線・寒暖差の影響を受けて劣化します。防水性が失われると雨漏りの原因に。新築時の施工品質によっては劣化の進行が早まることもあります。

2. 外壁

タイルや塗装が劣化するとひび割れから水が浸入し、内部の鉄筋が錆びる危険性があります。定期的な点検と補修が重要です。

3. 廊下・階段・バルコニーの床

防音性や耐久性を考慮した高価な材料が使われる場所です。水たまりによる滑りや転倒のリスクもあるため、劣化には注意が必要です。

4. 鉄部(外階段・玄関枠など)

鉄はサビが進行すると風化し、最悪の場合は構造物として使えなくなることも。定期的な塗装で保護する必要があります。

まとめ

大規模修繕工事は、マンションの共用部分を守り、建物の寿命を延ばすために欠かせない取り組みです。特に外壁、屋上、鉄部などは日々劣化が進んでおり、放置すれば雨漏りや安全性の低下につながります。日常のメンテナンスだけでは手が届かない部分を計画的に修繕することが、安心・快適な住環境を維持するカギとなります。費用はかかりますが、将来的なトラブル防止や資産価値の維持のためにも、適切な時期に実施することが重要です。管理組合は専門家のアドバイスも取り入れながら、住民とともに修繕計画を立てていく姿勢が求められます。

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