
マンションで暮らすうえで、給排水や電気、エレベーターなどの「設備」は、建物の外壁や屋上と同じくらい大切な存在です。これらの設備も年月とともに劣化し、不具合や事故の原因になる可能性があります。だからこそ、計画的な大規模修繕が必要なのです。この記事では、マンションの主な設備に関する大規模修繕の種類とポイントについて学んでいきます。
主な設備と大規模修繕の概要
以下の表は、分譲マンションにおける主な設備の大規模修繕の種類とその周期目安をまとめたものです。
設備名 | 修繕内容 | 周期目安 |
---|---|---|
給水設備 | 配管、ポンプ、受水槽更新、増圧方式への変更 | 25〜40年(配管)、15〜20年(ポンプ) |
排水設備 | 排水管の更新・更生、ポンプ交換 | 30〜40年 |
ガス設備 | 共用ガス管の交換・修繕 | 点検結果により実施 |
電気設備 | 幹線ケーブル、照明(LED化)などの更新 | 25〜35年 |
エレベーター | 制御盤や巻上機など主要部品の更新・交換 | 20〜30年(リニューアル) |
消防・防災設備 | 火災報知器、消火器、避難器具の更新 | 10〜25年(機器により異なる) |
機械式駐車場 | 駆動部、チェーン、パレットの更新 | 15〜25年 |
通信・情報設備 | インターホン、TVアンテナ、ネット配線の更新 | 15〜25年 |
設備修繕のポイントと注意点
1. 長期修繕計画に基づいた実施
これらの工事は長期修繕計画に組み込まれ、修繕積立金を原資に実施されます。住民の合意と計画性が重要です。
2. 外壁修繕などと同時に行うことで効率化
足場が必要な外壁や屋上の修繕と一緒に行うと、費用や期間の削減が期待できます。
3. 技術進化による前倒し更新も視野に
電気設備や通信設備などは技術革新のスピードが速く、周期より早く更新した方がメリットが大きい場合もあります。
4. 建物ごとの個別対応が必要
築年数や構造、設備仕様、維持管理の状態によって、修繕内容は千差万別です。画一的な対応はできません。
まとめ
マンションにおける設備の大規模修繕は、居住者の生活を支える基盤です。給排水、電気、エレベーターなどの設備は日常では目に見えにくいものの、老朽化が進めば漏水や停電、事故といった深刻なトラブルにつながるリスクがあります。これらの設備は、長期修繕計画に基づいて計画的に更新・改修していくことが求められます。とくに、足場が必要な外壁工事と合わせて設備修繕を行うことで、コストや工期の削減につながるケースもあります。また、設備ごとの寿命や使用環境による違いも大きいため、自分たちのマンションの状態を正確に把握し、適切な時期に修繕を実施することが資産価値の維持と安全な暮らしのために不可欠です。