
マンションで行う大規模修繕工事は、住まいの安心・安全を守るために欠かせない取り組みです。でも、「一体どのくらいの時間がかかるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。大規模修繕は、すぐに始まるわけではなく、事前の準備から工事完了まで、じっくりと時間をかけて進めていく必要があります。この記事では、大規模修繕工事に必要な期間とその流れについて、わかりやすくご紹介します。
準備期間(計画から着工まで)
大規模修繕工事は、建物の修繕内容を決めたり、工事会社を選んだりするだけでなく、マンション内での合意形成も重要なプロセスになります。そのため、着工までには1~2年ほどかかるのが一般的です。
理事会や修繕委員会は、建物の劣化状況を把握するための診断を行い、修繕の内容や予算を検討します。そのうえで住民への説明会を開き、丁寧に情報を共有しながら進めていくことが求められます。住民一人ひとりの理解と協力が、スムーズな準備のカギとなります。
準備段階のステップ | 主な内容 |
---|---|
1. 修繕の方向性を検討 | 委員会の設置、修繕が必要な理由を整理 |
2. 建物診断を実施 | 専門業者による劣化のチェック |
3. 修繕計画と予算を立案 | 工事内容の整理、資金の見通し |
4. 工事パートナーの選定 | 設計コンサルや施工会社の選定 |
5. 総会での承認 | 所有者の合意を得て正式決定(場合により特別決議が必要) |
工事期間(着工から完了まで)
実際の工事が始まってから完了するまでの期間は、マンションの規模によって変わります。以下が一般的な目安です。
規模別の目安戸数 | 工事にかかる期間の目安 |
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小規模(50戸以下) | 約3~4ヵ月 |
中規模(50~100戸程度) | 約4~6ヵ月 |
大規模(100戸超) | 約6ヵ月~1年 |
工事中は、足場の設置や作業員の出入り、資材運搬などで、日常生活に多少の支障が出ることもあります。洗濯物を干すタイミングやバルコニーの利用が制限されることもあるため、施工会社との情報共有がとても重要です。住民の負担をできるだけ軽減できるよう、管理組合や施工会社が連携して対応していくことが求められます。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は、居住者全員の暮らしに関わる大きなプロジェクトです。準備期間はおおむね1~2年、工事の期間はマンションの規模によって異なり、小規模で3ヵ月程度、大規模な場合には1年近くかかることもあります。準備段階では、修繕委員会の活動、建物診断、工事計画の立案、業者選定、総会での合意形成など多くのプロセスを経る必要があります。住民の理解と協力を得ながら進めることが、円滑な修繕のポイントです。また、工事中の生活への影響を最小限に抑えるためには、施工会社との密な連携が欠かせません。理事会や修繕委員会がしっかりと情報を整理し、早めに準備に着手することで、安心・納得の修繕工事を実現することができます。