設備更新で失敗しない!機械式駐車場リニューアルの進め方と注意点


設備更新で失敗しない!機械式駐車場リニューアルの進め方と注意点

マンションに設置されている機械式駐車場は、年数の経過とともに故障や部品供給の終了、安全性の不安など、さまざまな問題が生じるようになります。一定のタイミングで「更新工事(リニューアル)」を検討することは、快適で安全な住環境を維持するためにも欠かせません。とはいえ、「何から手をつければいいのか」「費用はどのくらいかかるのか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、機械式駐車場のリニューアル工事を進める際に知っておきたい基本的な考え方や費用の見方について、理事や修繕委員の皆さまにもわかりやすくご紹介します。

リニューアル工事の基本的な内容

機械式駐車場のリニューアルとは、老朽化した装置を撤去し、新しい機械装置を設置する工事のことです。これは建物の大規模修繕工事と同様に、長期修繕計画の中で定期的に行うべきものとされています。

機械式駐車場のリニューアル・更新工事は、主に以下の2つ工程に分けられます。

工事区分内容
解体・撤去工事既存装置の撤去・廃材処分など
新設工事新しい装置の設置など

コスト面を重視する場合には、「分離発注」(例:解体と新設を別々の業者に依頼)も検討の余地があります。多くのメーカーは解体作業を外注しており、分離発注によって無駄な中間マージンを抑えることが可能です。

メーカーの見直しによる選択肢の拡大

リニューアルを機に、他社メーカーへの変更を検討することも選択肢のひとつです。メーカーによって機能性や保守契約の内容が異なるため、これまでよりもマンションに適した仕様や管理体制を選べる可能性があります。

なお、メーカーを変更すると、保守点検を担当する業者も変更になるのが一般的です。
そのため、新たなメーカーの保守体制やサポートの質、費用体系についても十分に比較・検討しておくことが重要です。

ただし、既存ピットの寸法や構造によっては他社製品が設置できない場合もあるため、事前の現地調査が不可欠です。また、長期的な維持費用も異なるため、保守体制まで含めた比較検討が求められます。

見積もり取得は理事会・修繕委員会が主導で

更新工事の検討では、複数の業者から相見積もりを取得することが基本です。管理会社に一任するのではなく、理事会や修繕委員会が主体となって進める方が、透明性の高い発注につながります。

見積もりを比較することで、以下のような違いが明確になります。

  • 金額の妥当性
  • 中間マージンの有無
  • 保守契約の条件や内容

工事内容を正しく把握したうえでの業者選定・契約が、トラブルの回避にもつながります。

透明性のある手順を踏むことで、過剰な費用負担を抑え、コスト削減にもつながります。

利用状況に応じた仕様見直しも検討を

最近では、車の保有率の低下やカーシェアの普及により、駐車場の空きが目立つマンションも増えています。リニューアルを行う際には、実際の利用状況に合わせた装置の段数やサイズの見直しも有効です。

たとえば、3段式から2段式へ変更することで、対応車種の幅が広がるといった効果が見込めます。

さらに、空き区画が多く利用実態が乏しい場合には、機械式駐車場そのものを撤去して平面化するという選択肢もあります。
平面化によって維持管理費用を大きく削減できるだけでなく、駐輪場など、他の共用スペースとして再活用することも可能です。実際の利用率や将来の需要も踏まえながら、設備のあり方を柔軟に見直していくことが大切です。

まとめ

機械式駐車場のリニューアル工事は、単なる機械の入れ替えではなく、マンション全体の安全性や利便性、そして資産価値を維持していくための重要な取り組みです。更新工事の費用は「撤去」と「新設」の2つに分かれ、コストを抑えるためには分離発注という方法もあります。また、メーカーを見直すことで保守体制や装置の性能を最適化できる可能性もあります。理事会や修繕委員会が主導し、複数の業者から見積もりを取るなど、透明性のある手順を踏むことで、過剰な費用負担を抑え、コスト削減にもつながります。さらに、駐車場の利用実態に応じて装置の見直しや平面化の選択肢を加えることで、マンション全体の運営や将来計画にもプラスの効果が期待できます。住民の暮らしをより快適に、安心して維持していくために、早めの準備と計画的な対応を心がけましょう。

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