
マンションの大規模修繕工事といえば「おおむね12年周期」とよく言われますが、果たしてそれは本当に正しいのでしょうか?必要のない箇所まで修繕してしまっていませんか?この記事では、12年周期に縛られず、劣化状況に応じた計画的な修繕の考え方について学んでいきます。
大規模修繕工事とは?
「大規模修繕工事」という言葉はマンション管理組合ではおなじみですが、建築業界の専門用語ではありません。実際には以下のような複数の工事をまとめて行うことを指しています。
主な工事内容 | 説明 |
---|---|
外壁塗装 | 経年劣化による美観・防水性の低下を回復 |
シーリング | 建物の目地部分の防水材の打ち替え |
屋上防水 | 雨漏りを防ぐための防水層の補修・更新 |
鉄部塗装 | 手すりや扉などの鉄部の錆止めや塗装 |
「12年周期」だからこその落とし穴
マンションの多くは「12年に1度、大規模修繕工事を行う」という前提で計画されています。その背景には、例えば鉄部塗装を6年ごとに行い、2回目のタイミングで大規模修繕と一緒にまとめることで、足場費用を削減できるという合理性があります。
しかしその一方で、まだ劣化していない箇所まで一律に修繕してしまうという無駄が生じるケースもあります。
修繕のポイントは「劣化状況の見極め」
本当に大切なのは、年数ではなく“状態”を見ること。
足場を組むタイミングに合わせて修繕を決めるのではなく、各部位の劣化状況をしっかりと調査・診断した上で、必要な工事だけを選別して実施することが、結果的に長期的なコスト削減につながります。
- 軽微な補修は足場を組まなくても対応できる
- 補修のタイミングを分散すれば、積立金の圧迫を避けられる
修繕業界はいまどうなっている?
近年は建設業界全体で人手不足や資材価格の高騰が続いており、施工会社のスケジュールが早期に埋まってしまう傾向があります。とくに技能労働者の高齢化と若手不足が深刻で、思うような時期に工事を依頼できないケースも見られるようになりました。
必ずしも「売り手市場」といえるほど逼迫しているわけではありませんが、早めの計画立案と施工会社選定が、希望通りのタイミングで工事を行うためには重要になってきています。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は「12年に一度」という定型にとらわれるあまり、本来は不要な修繕まで行ってしまうリスクがあります。足場を組むタイミングや年数ではなく、その時々の劣化状況を丁寧に見極めることが、無駄のない修繕計画と健全なマンション運営につながります。また、施工会社の確保が難しくなりつつあるいまこそ、早期の準備と柔軟な修繕スケジュールの見直しが求められています。私たち「大規模修繕工事の相談窓口」では、住民の皆さまの声に寄り添いながら、最適な修繕のあり方をご提案してまいります。