
大規模修繕工事は数年にわたる長期プロジェクトとなるため、1~2年で交代する管理組合の役員だけで対応するのは困難です。そこで重要になるのが、工事を継続的に支える「専門委員会(修繕委員会)」の設置です。この記事では、専門委員会の必要性とその具体的な役割、構成方法について学んでいきます。
専門委員会の必要性とは?
管理組合の役員は任期が短く、交代も頻繁に行われます。しかし、大規模修繕工事は計画から完了まで3~5年に及ぶケースも珍しくありません。役員交代によって工事の情報や判断が引き継がれず、スムーズな進行が妨げられることも。
そこで、役員の任期を超えて活動を継続できる組織として「専門委員会」が必要になります。
特に「修繕委員会」などの分かりやすい名称をつけ、住民にもその存在と役割が伝わるようにするとよいでしょう。
専門委員会の主な役割
修繕委員会が担うべき主な役割は以下のとおりです。
役割 | 内容 |
---|---|
工事方針の決定 | 管理会社や設計事務所と協議しながら、工事の方向性を決定 |
対外折衝 | 設計者・施工会社・関係行政との連絡・調整を担当 |
居住者への対応 | 工事中の住民対応、質疑応答、クレーム処理など |
広報活動 | 工事の進捗や注意事項を掲示・配布・集会などで共有 |
いずれの役割も、工事に関する知識や対話能力が求められるため、委員には一定のスキルや経験が必要です。
委員の選定と組織の構成
専門委員会は、単に人数を集めればよいわけではありません。以下のポイントを押さえて選任・構成しましょう。
- 選定基準:建築・不動産・設備の知識を持つ人、調整力やコミュニケーション力のある人など
- 人数の目安:5~7名程度が一般的。多すぎると調整が難しく、少なすぎると負担が偏ります
- 役割分担:会計担当、記録担当、広報担当などを明確に分担し、効率的に運営
また、必要に応じて外部専門家(マンション管理士、技術アドバイザー)をサポート役として招くのも一案です。
まとめ
大規模修繕工事は長期間にわたる重要なプロジェクトであり、役員だけで対応するには限界があります。そこで、任期に左右されず継続的に活動できる専門委員会(修繕委員会)の設置が不可欠です。工事方針の策定、業者との調整、住民対応、広報活動など、委員会の果たす役割は多岐にわたります。信頼できる人材の選定と、機能的な組織構成を通じて、工事を円滑に進めていく体制を整えましょう。専門委員会の存在は、大規模修繕工事の成功に直結する重要なカギとなるのです。