管理組合が専有部分の修繕を一体で行うときの注意点


大規模修繕工事といえば共有部分を対象とするのが一般的ですが、実は専有部分の修繕も、状況によっては管理組合が一体で対応することがあります。ただし、その際には費用やルールの整理、住民への配慮が欠かせません。この記事では、専有部分の修繕を一括で行う際のポイントについて学んでいきます。

専有部分の修繕工事の必要性とは?

マンションの給排水管の更新や、劣化したユニットバスの交換など、住戸ごとに必要となる修繕工事。とくに築年数が経ったマンションでは、共用部分の更新と連動して専有部分の修繕が必要になるケースも少なくありません。

たとえば、共用部分である縦管の取り替えにあわせて、住戸内の給湯器や浴室設備も交換する「オプション工事」としてまとめて実施する方法があります。このような場合、事前に管理規約や長期修繕計画に明記し、総会での合意を得ることが重要です

費用負担をどう整理するか?

専有部分に関する工事は、原則として区分所有者が費用を負担するものです。しかし、管理組合が一括して工事を行う際には、誰が・どの範囲で・どれだけ負担するのか、あらかじめ明確にしておくことが必要です。

項目説明
基本費用原則、各住戸の負担(修繕積立金の使用は共有部分のみ)
道連れ工事の補償必須工事のついでに発生する工事費用は補償の検討も必要
合意形成費用配分については事前に総会決議をとるのが理想

特に注意したいのは、任意のオプション工事を管理組合が手配する場合、その費用は各戸が個別に支払うのが原則となる点です。

住戸内の生活への影響にも配慮を

専有部分の工事は、住戸内での作業が避けられず、**住民の生活環境に直接影響を与えます。**騒音・工事期間中の立ち入り・水道停止などへの対策が必要です。

とくに、下階から上階に向かって配管を通すような古い構造のマンションでは、上下階の協力が不可欠です。こうしたケースでは、事前説明会の開催や工程表の配布など、丁寧な周知がカギを握ります。

まとめ

専有部分の修繕工事を管理組合が一括して行う場合は、工事の必要性や範囲を明確にし、費用負担や補償のルールを管理規約や修繕計画に記載することが大切です。また、住戸内での作業が生活に与える影響を考慮し、工事内容やスケジュールの周知を丁寧に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。共用部分と専有部分の工事が複雑に絡むケースでは、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることで、住まいの価値を守り、快適な暮らしを維持することにつながります。

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