
マンションの大規模修繕工事には明確な実施ルールはありませんが、長く快適な暮らしを守るためには、適切なタイミングでの実施が重要です。この記事では、大規模修繕工事を行う周期や回数の目安、最近の傾向についてご紹介します。
修繕周期に法的な決まりはないが「目安」はある
分譲マンションの大規模修繕工事は、必ず何年ごとに実施しなければならないという決まりはありません。建物の状態をふまえ、各管理組合が主体となって実施時期を判断します。
とはいえ、多くのマンションでは以下のような周期を参考に計画が立てられています。
修繕回数 | 実施の時期の目安 | 主な内容 |
---|---|---|
第1回 | 築12~15年程度 | 外壁や屋上防水などの更新が中心 |
第2回 | 築25~30年程度 | 給排水管やエレベーター設備の更新検討が始まる |
第3回 | 築40~45年程度 | 建物・設備の全面的な見直しが必要となる時期 |
この周期は、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」や建材の保証期間(約10年)を参考に設定されることが多く、あくまで「目安」として活用されています。
建材の進化で修繕周期を延ばす選択肢も
近年では、修繕に使用する建材や工法が進化しており、従来よりも耐久性の高い材料を使うことで、修繕の周期を延ばすことが可能になってきています。
たとえば、外壁の塗装に高性能な塗料を使うことで、これまで12~15年が主流だった周期を15年~18年に延長し、結果的に長期的なコストを抑える工夫をしているマンションもあります。
検討のスタートは「築10年超」が目安
大規模修繕工事をいつ実施するかは、建物の状態によって異なりますが、築10年を超えたころから検討を始めるのが一般的です。
この時期に建物調査を行い、劣化状況を把握することで、必要な修繕の内容や時期を見極めることができます。早すぎず、遅すぎず、適切な時期を見極めるためにも、このタイミングでの準備が大切です。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は、法的に定められた周期ではなく、建物の劣化状況を見て管理組合が判断します。おおよその目安としては12~15年ごとに検討されますが、近年は高性能な建材の登場により、修繕の周期を延ばすことも可能になってきました。築10年を超えたあたりから、劣化調査や長期修繕計画の見直しを行い、将来を見据えた工事の検討を始めるのが理想的です。適切なタイミングで修繕を行うことが、資産価値を守り、安心して暮らし続けられるマンション運営につながります。