大規模修繕工事を成功させる!発注先選択の基本


大規模修繕工事を成功させる!発注先選択の基本

マンションの大規模修繕工事は、数千万円規模の費用がかかる一大イベントです。工事内容が固まったあとは、「どの施工会社に頼むか?」という悩みが出てきます。選び方によっては、コストも工事の質も大きく変わってしまうため、非常に重要な判断ポイントです。この記事では、大規模修繕工事の発注先選びの基本と、それぞれの方式の特徴について学んでいきます。

発注先選びの前に知っておきたい大規模修繕の流れ

大規模修繕工事は、以下のステップで進められます。

工事のステップ担当の例(方式により異なる)
工事計画の立案設計事務所、管理会社、施工会社など
施工施工会社
監理設計事務所、管理会社など

「工事計画の立案」には、工事内容の検討や予算の整理、見積もりの依頼先選定などが含まれます。また「監理」は、週に1〜2回程度、現場で施工状況を確認する作業です。

昔ながらの「管理会社方式」の落とし穴

以前は、普段から管理を任せている管理会社にすべてを一括で依頼する方式が主流でした。しかしこの方式には、次のようなデメリットがあります。

  • 管理会社がマンションの財務状況を把握しているため、見積もりが割高になりがち
  • 発注や監理がすべて同じ会社のため、チェック機能が働きにくく透明性に欠ける

このような背景から、現在では他の方式が主流になりつつあります。

主流となっている3つの発注方式の特徴

現在よく使われているのは、以下の3つの方式です。

方式名計画の立案施工監理特徴
設計監理方式設計事務所施工会社設計事務所透明性が高く、工事品質の管理がしやすいが、設計事務所への費用(工事費の7〜10%)がかかる
責任施工監理方式設計事務所施工会社施工会社監理まで施工会社が担うためコストは抑えやすいが、監理の客観性に不安が残る
プロポーザル方式施工会社(複数から選定)施工会社施工会社 or 第三者提案力や価格競争を反映でき、透明性とコストパフォーマンスに優れるが、選定に時間と手間がかかる

発注方式の比較表

方式名計画の立案施工監理メリット注意点
管理会社方式管理会社管理会社管理会社手間が少ない透明性・費用面で課題あり
責任施工監理方式設計事務所施工会社施工会社コストを抑えやすい第三者のチェックが入らない
設計監理方式設計事務所施工会社設計事務所監理がしっかり、品質確保しやすい設計料が追加で発生する
プロポーザル方式複数社から選定施工会社施工会社 or 外部競争原理が働き、最適案を選べる選定までの準備期間が長め

まとめ

大規模修繕工事の発注先を選ぶうえで、以前は管理会社方式が一般的でしたが、見積もりの高さや透明性の低さが問題となり、現在では設計監理方式・責任施工監理方式・プロポーザル方式の3つが主流です。中でもプロポーザル方式は、透明性とコストパフォーマンスに優れており、多くのマンションで採用が進んでいます。大規模修繕はマンションの未来を左右する大切なイベントです。発注先の選び方ひとつで、その成否が分かれると言っても過言ではありません。理事会や修繕委員会でしっかりと情報を整理し、納得のいく判断を行いましょう。

PAGE TOP