大規模修繕工事における責任施工方式とは?メリットとデメリットを解説


マンションの大規模修繕工事には、設計監理方式や責任施工方式など、いくつかの進め方があります。その中でも「責任施工方式」は、施工会社が設計から工事まで一貫して行う方式で、手間が少なくコストも抑えやすいとされる一方、注意すべき点もあります。この記事では、責任施工方式の特徴やメリット・デメリット、採用時の注意点について学んでいきます。

責任施工方式とは?

責任施工方式とは、施工会社が設計から施工管理までを一括して請け負う方式です。対して、設計監理方式では設計者(コンサルタント)と施工会社が別で、それぞれの役割が明確に分かれています。責任施工方式では、工事全体の責任が施工会社に集中するため、窓口が一本化され、発注者(管理組合)の負担が軽くなるのが特徴です。

責任施工方式のメリット

メリット内容
コストの削減設計と施工を一括発注することで、設計コンサル料が不要になり、全体のコストを抑えやすくなります。
手間が少ない管理組合が設計・施工の調整を個別に行う必要がないため、理事会や修繕委員会の負担を軽減できます。
スピード感がある設計から着工までの工程がスムーズに進みやすく、短期間で完了する傾向があります。

責任施工方式のデメリット

デメリット内容
中立性に欠ける設計と施工が同一業者であるため、施工内容のチェック機能が働きにくくなります。
品質管理の不安コストを重視しすぎた場合、使用材料のグレードや施工品質が下がる可能性があります。
トラブル時のリスク不具合や損害発生時に、責任の所在が施工会社に集中するため、交渉が長引くことがあります。

責任施工方式を採用する際の注意点

  • 契約書の内容確認:瑕疵担保責任の範囲や保証内容、工程の詳細などを明確にしておきましょう。
  • 保険加入の確認:万一の事故やトラブルに備えて、工事保険や第三者賠償責任保険の加入状況を確認します。
  • 業者選定は慎重に:施工実績や第三者評価、過去のトラブル事例なども調べたうえで、信頼できる会社を選びましょう。

まとめ

責任施工方式は、設計と施工を一本化することでコストを抑え、工事期間を短縮しやすいというメリットがあります。また、管理組合の手間を減らせる点も魅力的です。しかしその反面、品質や中立性の確保が難しいというデメリットもあります。採用する際は、契約内容や施工会社の実績、保険加入状況などを事前にしっかりと確認することが欠かせません。大規模修繕工事は数千万円単位の大きなプロジェクトです。責任施工方式の特性をよく理解したうえで、信頼できるパートナー選びと慎重な判断が、工事の成功につながる鍵となります。

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