
マンションの大規模修繕工事では、工事内容が多岐にわたるため、信頼できる施工会社を選ぶことがとても重要です。そこで有効なのが「設計監理方式」です。これは、専門の設計コンサルタントが間に入り、工事の計画から施工中の監理までを行う方式です。ただし、施工会社の選定を設計監理方式で行う場合には、注意すべきポイントがあります。この記事では、設計監理方式を使って施工会社を選ぶときの注意点について学んでいきます。
設計監理方式で施工会社を選ぶときの基本
設計監理方式では、設計コンサルタントが第三者の立場から施工会社の選定をサポートします。これにより、理事会や修繕委員会だけでは判断しきれない技術的な面や、見積内容の比較などを専門的にチェックしてもらえるというメリットがあります。
しかしその一方で、設計コンサルタントが特定の施工会社と関係を持っていると、「中立性」が損なわれてしまいます。そのため、コンサルタントが施工会社と直接の利害関係を持たないことが前提条件となります。
設計監理方式の主な役割 | 内容 |
---|---|
設計・仕様書の作成 | 工事の内容を明確に設計し、見積に必要な情報を整える |
施工会社の選定支援 | 見積依頼、ヒアリング、評価などを中立的に行う |
工事監理 | 工事が図面通り・安全に行われているかを確認する |
正しい選定のための情報収集
施工会社の選定では、情報の質と量が成功のカギになります。選定前に確認すべき項目には、以下のようなものがあります。
チェック項目 | 内容例 |
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施工実績 | 類似の大規模修繕工事の経験があるか |
技術力・人員構成 | 現場監督や職人の体制は万全か |
安全・品質管理体制 | 安全基準や品質管理の仕組みが整っているか |
材料・設備の調達力 | 安定した資材供給ができるか |
こうした情報を公平な視点で収集・比較することが、適切な施工会社の選定につながります。
施工会社との良好なコミュニケーションも大切
設計コンサルタントと施工会社は、契約後も密な連携が必要です。現場で起こる課題をスムーズに解決するには、定期的な打合せや報告、相互理解が欠かせません。また、住民の生活に配慮した対応を行うためにも、理事会・管理会社・設計コンサルタント・施工会社の四者連携が理想的です。
まとめ
設計監理方式は、大規模修繕工事を安心して進めるための有力な手段です。設計コンサルタントが中立的な立場で施工会社の選定や工事の監理を行うことで、公正性と透明性が保たれます。ただし、コンサルタントと施工会社との間に利害関係がないことを確認し、情報収集を丁寧に行うことが重要です。また、施工会社との良好なコミュニケーションを通じて、工事の質と安全性を高めることができます。理事会や修繕委員会としては、こうしたポイントを押さえて設計監理方式を上手に活用することが、成功への第一歩となるでしょう。