大規模修繕工事で後悔しないために知っておくべき、設計監理方式のリアル


大規模修繕工事の設計監理方式の記事

大規模修繕工事でよく採用される「設計監理方式」は、設計事務所が第三者的な立場で工事全体を監修する方式です。しかし、設計監理方式を選べばすべて安心、というのは大きな誤解。実際には、管理組合が主体的に関与しなければ、思わぬ落とし穴にはまることもあります。この記事では、設計監理方式の仕組みと注意点、そして後悔しない活用方法について学んでいきます。

設計監理方式は「万能」ではない

「設計監理方式を選べば、設計事務所がしっかり監督してくれるから安心」という声をよく耳にしますが、それは過信かもしれません。設計事務所がすべてを管理してくれるという認識は、実態と乖離しています。

設計事務所の影響力が強すぎることも

設計監理方式では、施工会社が「管理組合」よりも「設計事務所」の顔色をうかがうことがあります。なぜなら、施工会社にとっては一度きりの管理組合より、複数案件をもたらす設計事務所との関係のほうが重要だからです。結果的に、管理組合の意向が軽視される場面が出てきてしまう可能性があります。

見積もりが“横並び”になりやすい

設計事務所が作成する設計図や仕様書を各社に一斉配布し、それを基に見積もりを求めるスタイルでは、どうしても内容が似通いがちです。各施工会社がオリジナリティを出す余地が少なく、「横並びの見積もり」になりやすい傾向があります。

項目メリットデメリット
設計監理方式第三者の視点でチェックが入る設計事務所への依存が高くなる
施工主導方式価格競争がしやすい管理組合の技術的判断が求められる

工事中に発生する想定外の問題

実際の工事では、タイルの浮きや壁の剥がれなど設計段階では想定していなかった問題が発生することがあります。その際、設計事務所の立場を守るために応急処置で済ませてしまい、本来必要な追加工事が行われないまま終わるケースもあります。

最悪の場合は不正も…

まれにですが、設計事務所が主導して談合を誘導したり、施工会社からバックマージンを受け取っていたという事例も報告されています。こうした事態は透明性の欠如が原因です。

設計監理方式を活かすための3つのポイント

設計監理方式は「悪」ではありません。適切に使えば大規模修繕工事の質を高める強力な手段となります。そのためには、次の3つのポイントを押さえましょう。

1.信頼できる設計事務所を選ぶ

実績・評判をよく調べ、信頼できるパートナーとしての設計事務所を選びましょう。過去の工事実績や担当者の対応力なども重要な判断材料です。

2.管理組合が主体的に関わる

「任せきり」にせず、理事会や修繕委員会が主体となって打ち合わせや意思決定に関与することが重要です。記録を残し、議事録の共有を徹底することで、透明性も高まります。

3.見積もりや仕様の透明性を確保する

複数の施工会社から見積もりを取る際は、提案内容の比較ができるよう工夫しましょう。選定基準を明確にし、価格だけでなく提案内容や施工体制も評価対象にすることが大切です。

まとめ

設計監理方式は決して万能ではなく、使い方を間違えれば管理組合が不利益を被る可能性もあります。設計事務所にすべてを委ねるのではなく、管理組合自身が主体的に情報を把握し、適切な判断を下すことが大切です。そのためには、信頼できる設計事務所の選定、透明性の確保、そして理事会や修繕委員会の積極的な関与が不可欠です。この記事を参考に、後悔のない大規模修繕工事を目指してください。「大規模修繕工事の相談窓口」では、設計監理方式のメリットを最大限に引き出すお手伝いをしていますので、お気軽にご相談ください。

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